奥村 雄樹(オクムラ ユウキ)
1978年04月19日青森県生まれアーティスト
2012年東京芸術大学大学院博士後期課程修了。ヴィデオ、パフォーマンス、テキスト、キュレーションなど、様々な媒体を駆使しつつ、社会を成立させる言語的な規則(とりわけ人称や人名)をわずかに誤作動させながら、主体を入れ替えたり世界を書き換えたりするための形式として、あるいは身体の物質性(個別的であることや必ず死ぬことなど)および時空の連続性という物理的な制限を突破した媒介の方式として、「翻訳」や「解釈」という枠組の可能性を探求する。近年は、「私」という問題を批判的に更新する他のアーティストたちの作品を参照しつつ、それらを主観的に再解釈・再演する、あるいは時にラディカルに書き換えることを通じて、「自画像」や「自伝」の新たなあり方を探っている。翻訳家としても活動。
【第14回日本文化藝術奨学金受給 (2009年度)】
25周年記念助成対象企画概要
- ◆フランス人アーティストのベアトリス・バルクーとの二人展<2018/8/25〜2019年夏/kumagusuku(京都市中京区)>
フランス人アーティストのベアトリス・バルクー(1976-)との二人展+α。二人は京都にあるフランス文化施設「ヴィラ九条山」で、6月〜8月末の3ヶ月間、お互いのコラボレーターとして滞在制作を行い、本展はその成果発表となる。二人は、両者の実践にふさわしい特異なコラボレーションの形式を探るため、文楽/人形浄瑠璃(文楽)の舞台における太夫・人形遣い・三味線弾きという三者間の関係性を参照する。会場は宿泊型アートスペース「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」。kumagusukuの各宿泊部屋と共有スペースに、二人がそれぞれに制作した様々な媒体の作品が相補的な関係を結びながら展開される。
選評
主観と客観、言語と身体、自己と他者との関係性などをテーマに、国内外で活動し、現在はベルギーとオランダを拠点とする奥村氏が、フランス国外文化施設である京都・ヴィラ九条山のレジデンシーとして、国や人種、表現形態といった「境界」に縛られず、アーティスト、キュレーターと構築する関係性の中から生み出した作品を、テンポラリーに人々が交差するkumagusukuという場で提示し、そこに今想像しえない思考を生み出す、という野心的な取り組みである点を高く評価した。また、歴史と現在が同等に存在する「京都」という場で、太夫、人形遣い、三味線弾きの関係性から成り立つ日本の伝統文化である「文楽」を参照するという視座にも期待したい。(杉浦 幸子)
活動ブログ
活動結果報告
[イベントタイトル]ベアトリス・バルクーx奥村雄樹:心中熊楠城
[発表の形態]展覧会
[日程]2018年8月24日~2019年8月31日(2019.6月現在の予定)
[時間]16:00~11:00
[会場]KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
〒604-8805 京都市中京区壬生馬場町37-3
[主催]KYOTO ART HOSTEL kumagusuku
[来場者数]1,690名(2019.6月現在での見込)
[広報活動]
◆美術手帖web版に紹介記事が掲載(https://bijutsutecho.com/exhibitions/2968)
◆チラシは関係者に配布。
◆カタログを制作し5/25より会場で販売。展示風景の写真のほか、国立国際美術館の学芸員であり、文楽への造詣も深い橋本梓氏による論考を和英で掲載。また、本展における奥村とバルクーの特異なコラボレーションの形態(文楽における太夫と人形遣いのように、互いに交わることなく、パラレルに並走するような)を書籍の形態において再現する特殊なデザインを実現(デザインはUMMMが担当)。